糖尿病に関する知識
1. 1型糖尿病種別
劇症1型糖尿病
ほんの数日でβ細胞が破壊されて糖尿病となるケース。
短期間に急激に血糖値が上がるため、血糖値は高いがa1cは高くない状態になる。
自分が発覚した時は血糖値1400、a1c12くらいだから劇症ではない。1型糖尿病
血糖値を下げる唯一のホルモンであるインスリンの、生産細胞であるすい臓のβ細胞が破壊され、インスリンが出なくなって血糖値が上がるタイプの糖尿病。- 自己免疫性1型糖尿病
自己免疫で細胞を壊してしまう。 - 突発性1型糖尿病
自己免疫以外
- 自己免疫性1型糖尿病
2. 成長
- 一型糖尿病の子供達
- 保育所、幼稚園
治療と血糖管理は家族にゆだねられる。
インスリン注射や血糖自己測定に対する恐怖心を払拭する。
治療の中心はインスリンポンプ。 - 小学校~中学校
自己注射、血糖自己測定を中心とした自己管理開始。
生活様式に適合したインスリン治療法を選択する。
治療の意義を家族とともに考える。 - 中学校~高校
自立と自己管理の確立を目指すが、治療や管理への反発が大きい。
合併症や妊娠、社会生活についての教育開始。 - 若年成人
生活様式に適合したインスリン治療法の確立。
自分で生きていく管理体制の確立。
- 保育所、幼稚園
3. 生活習慣
- 生活習慣七つの大罪
- 過度の飲酒
- 肥満
- 喫煙
- 睡眠不足
- 間食
- 朝食をとらない
- 運動不足
4. 合併症
- 糖尿病の三大合併症「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」「糖尿病神経障害」は無症状で悪化していく。
これが糖尿病合併症の普通の進み方。
4.1. 目
- 成人の失明原因の第一位は糖尿病網膜症
- 糖尿病網膜症の分類
- 単純糖尿病網膜症
初期の段階、殆ど自覚症状なし - 前増殖糖尿病網膜症
一歩進んだ段階、まれに視力低下、自覚症状はない場合が多い、レーザー治療要 - 増殖糖尿病網膜症
重症、視野に黒い影やごみが見える事がある、自覚症状ないこともある、薬剤・レーザー・硝子体術手術
- 単純糖尿病網膜症
1型糖尿病では、糖尿病発症から10~15年で90%が糖尿病網膜症となる、 内25%は増殖糖尿病網膜症
糖尿病網膜症
自覚症状がないうちに進行するので、年1回は眼科検査必須。
現在の血糖管理が良くても、過去に悪けれ糖尿病網膜症になることもある。
血糖だけでなく、血圧・脂質の管理も重要。自覚症状はなくても合併症は進む!
定期的に眼科へ行くこと。
4.2. 腎臓・肝臓
透析
透析導入の原因疾患は糖尿病腎炎が最も多く全体の43.5%
発症要因は高血糖、高血圧、脂質異常症、肥満、塩分の過剰摂取、タンパク質の過剰摂取。肝臓は糖の放出や取り込みを行うので、肝臓を大切にすることは血糖コントロールにつながる。
糖尿病腎症
血液がろ過されない、栄養が取り込めない、透析治療要となる。
アルブミン(血液中のたんぱく)が出始めると腎症になったということ。- 腎症前期(1期)
正常アルブミン尿、異常が見つからない。 - 早期腎症期(2期)
微量アルブミン尿 (全力でリカバリー要) A1C8%以上で7年程度経過した後になる可能性が高い。
早期対策で改善可能。 - 顕性腎症期(3期)
アルブミン、たんぱく尿、腎臓の機能低下 (将来を気にして) 尿にアルブミンが大量(300ms/gCr以上)に出る。
コレステロールも増加。
ここからの改善は非常に困難、医療機関との連携が必要。
ほっとくと肝機能が急激に低下し数年で肝不全となる。 - 腎不全期(4期)
腎不全 (覚悟を決める) - 透析療法期(5期)
透析療法
★ 改善が期待できるのは2期まで、3期からは症状を止める程度で改善は難しくなる。 - 対策はA1C 6.9%以下!
- 腎症前期(1期)
4.3. 血管
動脈硬化
欠陥が固くなり広がらなくなる。そして血栓が詰まり心筋梗塞へ至る。
食後血糖値が150~180mg/dL程度の上昇でも心臓病の起こりやすさは、危険な状態であるといえる。
運動するのが予防になる。
→ 動脈硬化症検査(CAVI)で動脈の硬さ・詰まり・血圧脈派など動脈硬化が分かる。(検査費2000円強)動脈硬化、その病態と検査結果の見方
複数のタイプがあるが多くは粥状硬化症で、心筋梗塞や脳梗塞の発症原因。
粥状硬化症はLDLコレステロールに注意が必要。
糖尿病、高血圧、脂質異常、肥満症、喫煙は動脈硬化症疾患の発生リスクを高める。
血管年齢を測る足関節上腕血圧比(ABI)や脈波伝搬速度(PWV)は早期発見に役立つ。血糖値が大きく上下するのを続けると動脈硬化になりやすくなる。
脳卒中
脳卒中は冬に発生しやすくなる。
人間は寒さを感じると、交感神経が刺激されて欠陥が縮小し、血圧が上がるため。
寒暖の変化で血圧の変化も大きくなり、動脈硬化の危険因子となる。
糖尿病により高血糖状態が続くと、血管壁がダメージを受け、詰まったり破れたりする原因となる。- 不整脈
血糖コントロールが悪いと起きやすい。
4.4. 神経
- 自律神経障害
立ちくらみ、めまい、胃もたれ、ひどい下痢、排尿障害、勃起障害、無自覚性低血糖などになる。
治療の原則はA1Cを7%未満にすることのみ。この状態は蓄積されるのでずっと7%以下が望ましい。
効果が10年以上も維持されるメタボリックメモリー、遺産効果である。
血糖の状態が生涯ずっと蓄積される。既にだいぶ寿命減ってるんだろうなぁ。。
4.5. 足
- PAD、抹消動脈疾患
足の血流が悪くなり、小さな傷が治らず、組織が腐る。
予防は以下。- 血糖・血圧・コレステロールを適正に保つ。
- 肥満の解消。
- タバコは吸わない。
- 運動を心がける。
4.6. 歯
- 糖尿病の人は歯周病になりやすく、歯周病があると糖尿病の治療が難しくなる。負の連鎖。
糖尿病により血糖管理が悪いと体の抵抗性が落ち歯周病原因細菌の感染しやすくなる。
歯周病があると細菌が入り込み、TNF-アルファ腫瘍壊死因子の産生が促進されインシュリン抵抗性が高まり、インシュリンの効きが悪くなる。
4.7. 年齢
- 高齢者(特に80歳以上)は重度の低血糖が起こりやすくなる。
重症の低血糖を起こすと、高齢者では認知症、転倒、心血管疾患、死亡などを引き起こす。
5. 血糖値と体の症状
血糖値 | 症状 |
---|---|
70 | 空腹感、あくび、悪心 |
50 | 無気力、怠慢感、計算力減退 |
40 | 発汗、動悸、震え、顔面蒼白、紅潮 |
30 | 意識消失、異常行動 |
20 | 痙攣、昏睡 |
10 | 重大事故 |
6. コントール
トレシーバーなど持続型インシュリンの量が多いと、常に血糖値が下がる状態になる。寝ている間も血糖値が下がり続けるため、永遠の眠りにつくことがありえる。寝ているときの低血糖は本当に怖い。
以下のような高血糖ループもある。- 朝
低血糖 → 反動で高血糖へ - 昼
高血糖のまま仕事(会社では血糖値計らない) - 夜
高血糖と分かり調整する - 深夜
寝てる間に低血糖へ
- 朝
年末年始は血糖コントロールが乱れる時期
食べたらいけないものはないが、何を食べても血糖値は上がると考える。
食べる様を調節・工夫すること。
比較的脂が少なく、野菜をしっかりとれる鍋料理がお勧め。自覚症状が出るまでのタイムラグ
低血糖や高血糖の症状が出るまで少々時間がかかる。
個人差はあると思いますが、僕の場合30分~1時間くらいで症状が出始める。
急激な低血糖や高血糖だと、しばらくたってから症状が出る。コントロールが悪いとどうなるか実体験より
37歳で糖尿病、気を付けていたが57歳で網膜症、その10年後に心臓カテーテル治療、さらに8年後に透析。食事(糖質)をとり始めてから血糖値が高くなるには通常約30分を要する。
血糖値が上がったり下がったりすると起きる症状
- 高血糖:頻尿になる、胸のあたりがムカムカする
- 低血糖:動悸が激しくなる、手が震える
- 低血糖から反動で高血糖になった後:鼻の奥に血の香りがする
→ これが出たときは既に高血糖に向かっているので飴を食べても手遅れ、上がるのでインシュリンを打つ - 2回以上何度も反動が続いた後:足の筋肉が疲れる、全身に疲労を感じる
→ 肉を溶かして血糖値に変えているのか?
血糖値が上がる理由
飲みすぎ、食べ過ぎ、運動不足、メタボ、風邪、ストレス、低血糖の反動、他の病気治療の薬(ステロイド等)血糖値が下がる理由
食事を減らす、運動、減量、尿で排泄(水分を取る)、インスリン注射、血糖値を下げる飲み薬、慢性感染症の治療、ストレス解消従来治療法
A1C : 6.9%未満
血圧 : 130/80mmHg 未満
LDLコレステロール : 120mg/dL未満強化療法群
A1C : 6.2%未満
血圧 : 120/75mmHg 未満
LDLコレステロール : 80mg/dL未満高血糖の原因かもしれないこと
- 低血糖が来て反動で上がっている? → 低血糖っぽい症状はない。
- 筋トレでグルカゴン等が出て上がった? → 週二日くらいしかしていない。
- 肉を多めに食べることで後から上がっている? → あるかもしれない。
- インシュリンの注射箇所が似通っている? → あるかもしれない。
- GWに不摂生を行った? → ここ一ヶ月の食生活はほぼ変わらない。
血糖値を低下させることで、網膜症、腎症などの細小血管合併症を抑制
心筋梗塞、脳卒中などの動脈硬化性疾患は血糖値を低下させるだけでは不十分
血圧やコレステロールのコントロールも重要
7. 検査
検査結果の基準範囲と臨床判断値
- 基準範囲
「健康と判定された個体について測定した検査値分布の95%信頼区間を表す値」 - 臨床判断値はカットオフ値、予防医学的閾値がある
- カットオフ値
どの値から疾患群と判定するかの境界値 - 予防医学的閾値
将来の発病が予測され、予防医学的な見地から一定の対応が要求される検査閾値
- カットオフ値
- つまり基準範囲は、あくまで確率の範疇なので、範囲内にいても異常となる人もいる。逆もまたしかり。
- カットオフ値は、その値を超えると疾患群であるとなる。
- 予防医学的医学値も、その値を超えると発病する可能性が高いので 対応が必要となる値である。
- 基準範囲
検査値の糖尿病患者の目標値
項目 | 目標値 |
---|---|
体格指数(BMI) | 22 |
血圧 | 収縮期130未満、拡張期80未満 |
空腹時血糖値 | 80~109 |
食後2時間血糖値 | 140未満 |
ヘモグロビンA1c | 7.0未満(至適は6.0未満) |
グリカルブミン(%) | 17以下 |
中性脂肪 | 100未満 |
HDL-C | 40以上 |
LDL-C | 120未満 |
8. 睡眠
短い睡眠時間は耐糖能を低下させる。健康な若年男性を対象とした実験では、8時間睡眠をしたときに比べて、4時間睡眠を6日間続けると、耐糖能もインスリン感受性も3~4割低下する。
つまり、睡眠不足だと同じインシュリン量でも血糖値が下がりにくくなるとのこと。3-4割って結構大きい。原因は不明だが、睡眠時間とA1Cの統計を取ると、6.5~7.4時間睡眠の人が一番A1Cの良い結果が出ている。
睡眠時間が長くても短くてもダメ。
ちゃんとした生活習慣の人が上記睡眠時間に密集しているのかも?
9. たばこ
- 糖尿病とたばこは最強最悪のタッグ
- 喫煙は糖尿病を誘発する
- 喫煙は血糖コントロールを悪化させる
- 喫煙は糖尿病の合併症を誘発、悪化させる
- がん発生率UP
- 動脈硬化率UP
- 感染症率UP
- 歯周病率UP
- 受動喫煙もダメ。まぁ健康でいたいならタバコとその煙には近づかない事ですね。
- 有害物質は主流煙(吸い込む煙)より副流煙(タバコから出る煙)の方が多い。なので受動喫煙はタバコを吸う人並みに健康を害する。
10. 風邪
シックデイ
風邪のとき、辛くても血糖値計るのと注射は止めないように。
ご飯を食べない時の注射量は血糖値と相談。風邪のときは基本的に上がる。
もし注射(インスリン)を打たないと、糖質をエネルギーに変えることができなくなる。
そのため、代わりに脂肪がエネルギー源として使われ始めるが、このとき、肝臓で酸性のケトン体が作られて血液が酸性になりケトアシドーシスが起きる。
ケトアシドーシスは嘔吐、腹痛、意識障害、緊急治療が必要となる大変危険な状態。糖尿病ケトアシドーシス
インスリン欠乏で発生し、最悪昏睡となる。
特に1型では風邪などで食事ができない時に、インスリンを減らすことで起きやすい。
インスリン注射をやめてはならない。1日打たないだけで発生することもある。
インシュリンが不足しているときは、脂肪がエネルギー源として使われる。
このとき、肝臓でケトン体が作られる、この量が増えると血液が酸性になってしまう。
11. コレステロール
- HDL(善玉)コレステロール
清掃トラック、余分なコレステロールを回収する - LDL(悪玉)コレステロール
宅配トラック、コレステロールを全身に配給する
→ 配給しすぎるとダメ
糖尿病患者のコレステロールは120mg/dL未満が望ましい
LDLが多すぎると宅配トラックが血管のアチコチで交通渋滞となっている
→ 救急車が通れなくて動脈硬化となり死亡 - 血中の総コレステロール(mg/dL) = (2.16 S) – (1.65 P) + (0.068 * C)
S:飽和脂肪酸摂取量の変化量、肉の脂身やバター生クリームなど常温で固まる脂
P:多価不飽和脂肪酸、アジやイワシなど魚
C:コレステロール摂取量
→ Pはマイナス係数なのでコレステロールを下げる
Sは2.16の係数がかかり一番効果がある(コレステロールが上がる) - 1日に摂取する食事中のコレステロールが400mgからは、血中コレステロールの変化量は50mg/dLで頭打ちとなる
→ つまり食事のコレステロールを800mgから400mgに下げるように食事制限しても、血中コレステロールは50mg/dLから下がらない。
12. 熱中症
- アルコールで水分補給をすると排尿頻度が高くなり、アルコール分解過程で水分が使われ、かえって脱水症状になる。
糖尿病の方は尿の量が多くなりがちで脱水症状になりやすく、熱中症になりやすい。
体感として血糖値200くらいから頻尿になる。熱中症の初期症状は、めまい、立ちくらみ、生あくび、大量の発汗。
応急処置は、日陰へ移動、から大水をかける、濡れタオル、冷水と塩分補給、無理なら救急車。
13. 低温やけど
- 42~50度程度の暖房器具に1時間30分以上触れることで起きる。
低温やけどになると7~10日後に皮膚が壊死する。
暖房器具は40度以下に設定すること。
14. 風呂
- 冬のお風呂にご用心!
- 入浴による消費エネルギーは、42度のお湯に10分浸かると40kカロリー程度消費。
- 43度で1時間入浴すると深部体温が生きる限界(43度)に達して重症となる。
- 飲酒をしたら血糖が下がりやすくなる(インシュリンが早く効く)事と、意識不安定で低血糖に気が付きにくいので入浴をしてはダメ。
15. 男性更年期障害
勃起障害の一部は生活習慣への介入で回復する
- 肥満
減量で回復する可能性が高い - 運動不足
運動習慣があると勃起障害の発生頻度は低い - 睡眠時無呼吸症候群
治療で勃起障害も改善する - 甲状腺機能異常
ホルモンの正常化で性欲なども含めて改善する
- 肥満
勃起障害の治療薬はインターネットで買ってはいけない
約半数が異物混入しており死亡例もある。男性更年期障害の予防
適切な運動、適度な飲酒(多すぎると効果なし)、肥満の解消
16. 肥満
- 早食いは肥満の元。
17. 災害
- 災害時に気をつけること
薬の残数、医療チームの存在、お薬手帳(薬の種類や規格を正確に伝えないと薬を処方してもらえないため)、水分補給はしっかりすること、インシュリンは食事量に合わせて。
18. 糖尿病川柳
さかえより。
「あんみつ」を 横目でにらみ 「トコロテン」 / 納見俊六
いやぁ、この葛藤と決心、かっけぇです・・!病院食 仙人修行と 腹を決め / 森下博史
まさにそんな感じですねw 120%共感w御馳走に 注射器忘れ とほほほほ / 石井一嘉
分かります;_;定まらぬ 株価と円と 血糖値 / 高橋妙
株のトレーダーが心電図を株のチャートと見間違えたのを思い出しましたw妻の愛 薄まるほどに 味は濃い / YDS
ちょっと笑いましたw大福を 口に入れたら 目がさめた / 大原紀代
低血糖でパンをかじったまま倒れて、病院で復活したっていう話し聞いたことあるw
19. その他
- 笑いは血糖値の上昇を抑制するらしい